4歳児の冒険

『お兄ちゃん、どこ?』

さっきまで目の前にいたはずの僕のお兄ちゃん。
すぐそばの角を曲がると、
そこにはいくつもの道がある、そして角がある。

でも、お兄ちゃんの姿は無い。

『どこ?どこだ、お兄ちゃん?』

もうひとつ角を曲がってみる。

いた!

『お兄ちゃん、みぃつけた!』

思わず笑い声が漏れる。
お兄ちゃんも笑いながら、
また細い道を走って角を曲がり、姿を隠す。

ここは迷宮。
どこへ続いているかも分からない、
そして何が出るか分からないこの迷路の中を
お兄ちゃんと二人で思いっきり探検するぞ!

すると、迷宮の番人が、ついにその姿を現し、
その大きな体でボクらの往く手を阻む。
いかめしい顔をしてその長い腕を伸ばすと、
逃げようとするボク達兄弟をガッシリと掴まえる。

『たすけて!』

恐怖に身をすくめるボク達に向かって、
背広を着て、メガネをかけた番人は怖い顔をしてこういったんだ。


「こら、ここは走り回る場所じゃない!

図書館、と言って静かに本を読んだり、勉強をしたりする場所だ。

静かにできないのなら、外に出なさい!」



遠くの本棚にいたお母さんが、あわててボク達を助けにやって来る。
お母さんの救援でようやくボク達兄弟は、怖い番人から逃げることに成功した。

助かったぁ。
やっぱりお母さんはすごいや!
あれ?でもなんかへんだぞ、
お母さんが番人にずっと頭を下げてる?



図書館を出て、家に帰る途中、ボクはお兄ちゃんにそっと話しかけた。

「今度はあのメガネの番人をやっつける方法を考えなくっちゃ、
ねぇ、お兄ちゃん」


でもその声は、お母さんに耳にもしっかり届いていた。

「もう、アンタ達、図書館では静かにしてなさいって、
あれほど言ったのに、まだ分かってないの!
アンタ達が、本棚の間でかくれんぼなんかして大声出すから、
職員の人に叱られて、お母さん、恥ずかしかったんだから!
静かに絵本を読めないんだったら、
もう図書館には連れて来ません!」

そうか、図書館って本を読むところだったんだよね。
じゃあ、今度は一緒に絵本を読んでね、お母さん。
お母さんのひざの上だったらボク、静かに絵本をよめるよ。

だってボク、もう4歳なんだから。

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  • はなさかじいさんは子供に読み聞かせたい本です

    Excerpt: 4歳児の冒険『お兄ちゃん、どこ?』...続きを読む... 天橋立!日本三景☆ ここは丹後、京都の北の果て。 天橋立に到着でございます~ お降りの方はお忘れ物のなきよう~ Weblog: IIRUNKFIW racked: 2007-06-07 16:52