密室の恐怖改2

では、さっそく前回のお話の続きをさせていただきます。

それからワタクシは店内を20分以上物色いたしましたが、
新たな女神に出会えなかったので御座います。
いや、女神は溢れかえっておりましたが、
ワタクシのポケットの中身と相談して
今回は泣く泣く「新たな女神を迎えること」を見送ることにいたしました。
そのときのワタクシの心の中では

「よーく考えよー、お金は大事だよー」

という某保険会社のCMがいつまでもエンドレスで流れておりました。

 さようなら、ゆ○こ、ひ○み、み○き。
 おいらにもう少し甲斐性があれば、まとめて身請けしてやれるのに。
 せめていい人に買われておくれ。
 そして縁があれば、いや円があればまた会おう。


ええ、何も買わない客を見る店員の冷たい視線を感じながら、
ワタクシはひっそりと店を後にしたので御座います。

そして、エレベーターのドアで「下がる」ボタンを押し、
1階から店のある5階まで空のエレベーターが上がって来るのを
ぼんやりと待っていたので御座います。
「待つ身」は長く感じられるもので御座います。
ずいぶんと待ったように感じましたが、本当は1分ほどで御座いましょう。
ようやくエレベーターが5階に到着いたしましたので、
ワタクシはエレベーターの箱に乗りこんで、「1階」のボタンを押しました。
そうしますと、ワタクシが乗り込んでおりますエレベーターの扉がしまる寸前に、
もう1人、誰かがエレベーターに乗りこんでこられたので御座います。
なんと、あの油ギッシュなおじさんで御座います、
先ほどの店の「ホモ」コーナーにいらした、
あの「ワイルドなおじさん」で御座います。

前回のお話でご説明しましたように、このビルのエレベーター
3人も乗れば一杯になるような、非常に小さなもので御座います。
その狭い空間にワタクシはあのおじさんと
エレベーターが1階に降りるまでのまでの時間、
体を触れ合わんばかりにして、
この空間を共有せねばなりません。
この箱から降りようか、と思う間もなく扉はしまり、
エレベーターはゆっくりと下降を始めました。
ワタクシは、出来るだけ壁際に立ち、壁に背を預け、
おじさんに後ろに立たれない様にしました。
ええ、「バックを取られてはならない」と思ったので御座います。
また目を合わせないよう狭いエレベーターの壁の一点をじっと見つめていました。
しかし、おじさんの動きには全神経を集中させておりました。
いや、神経を集中させたところでどうなるわけでも御座いません。
なにせワタクシは腕力には全く自身が御座いません。
対して、「ワイルドなおじさん」の方はどうかと申しますると
毛深い腕はまるで丸太のように太く、
ガッシリした肩幅は運動で鍛えられている事を示しておりまする。
もしこの「ワイルドなおじさん」と男の操を賭けて相争うことになったとしても、
ワタクシは自分を守りきれるかどうかカナリ疑問で御座います。
いや、けっして太刀打ちできないことで御座いましょう。

もしも、もしもで御座います、
この瞬間に何らかのトラブルで、
そうで御座いますね、地震や大停電、はたまた機械の故障で
このエレベーターが階の途中で止まってしまったら
ワタクシはどうなるので御座いましょうか。
ええ、ワタクシの身の安全は、いえワタクシの純潔は
○菱製のこのエレベーターにかかっているので御座います。
三○の技術者の優秀なことを心より祈る他に
ワタクシにできる手立ては御座いませんでした。

1秒でも早く1階につくこと、
ワタクシの望みはそれ一点で御座いました。
エレベーターが1階に到着し扉が開くまでの間、
実際それを時計で計ったとしますれば
1分にも満たぬほどの時間であったことで御座いましょう。
ですがワタクシにとって数十分にも感じられる時間で御座いました。

ようやくエレベーターが1階につき、扉が開き、
その空間から開放された瞬間、
ワタクシの恐怖は杞憂に終わったので御座います。
ハイ、何事もなかったのでございます。
ええ、ワタクシの男のミサオは無事だったので御座います。
遠くに去っていくおじさんの後姿を見ながら、
ワタクシは日本の技術者は偉大であると心から思ったので御座います。

いやいや、そもそもワタクシの考えすぎでございました。

おじさんは、そう言った趣味をお持ちでしたが、
やはりワタクシには興味がなかったの御座いましょう。
また、仮に、仮にでございますよ、
ワタクシがおじさんのタイプだったとしても、
犯罪行為に至るとは限りません。
ワタクシだって、エレベーターで生身の美女とご一緒したからといって、
すぐに犯罪行為に及ぶなんてありえない事で御座います。
理性というものが御座います。
私の恐怖は、自意識過剰の産物と笑われても致し方ない事でございました。

しかし、ここでハタと気がついたので御座います。
満員電車に乗っている女性の気持ちも同じではなかろうかと。
あの狭く身動きも取れず、ましてや逃げる事も出来ない車内で
見ず知らずの男の人と体を触れ合わんばかりにして過ごすという事は
女性にとりましてかなりのストレスでございます。
またすぐ傍で何食わぬ顔をして立っている男性が
理性で自らの欲望を抑えることできるか否かは、
見た目だけでは判断できないので御座います。

そう考えますと、「女性専用車両」というのは
必要かもしれないと思い至った次第でございます。

ほんの少しだけでは御座いまするが、
女性の気持ちを垣間見ることができた貴重な経験で御座いました。
かなり長いお話となってしまいましたが、
今宵はこれまでとさせていただきます。

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    Excerpt: はじめにお断り書きを少々述べさせていただきます。 実はワタクシ、以前には別の場所でブログを開設しておりまして、 まあ、今と変らず駄文を書き散らしておったわけで御座います。 しかしイロイロ御座いま.. Weblog: 御伽衆 racked: 2008-12-02 00:41