町内会長Aの事件簿 3 「町内会長離婚」

夫婦とは、ずっと寄り添うもの。

そんな幻想は今は昔の物語りとなりました。
一度は熱い思いで結ばれても、再び別の道を歩む夫婦がけっして少なくありません。

新婚旅行から帰った途端に離婚する、「成田離婚」
長年連れ添った夫婦が年取ってから離婚する「熟年離婚」
夫の定年退職を期に離婚する「定年離婚」等々、
離婚は人間模様を写す鏡であると同時に、社会を写す鏡でもありました。

さて、タイトルの「町内会長離婚」とはなにかと申しますと、
我が家の家内安全を脅かせた、重大な危機のことです。

まず、父が町内会長になることに、母は大反対でした。
実は数年前、お隣さんが町内会長に就任したのですが、
その年は『当たり年』だったのです。
いえ、よい意味ではなく、悪い意味で『当り年』だったのです。
ひっきりなしに揉め事が起こり、そのたびに町内会長さんが呼び出される。
揉め事を起こした当事者が交互に会長さん宅へ押し寄せ、
執拗に自説を主張し、悪いのは相手だと強弁する。
遂には、その会長さんは軽いノイローゼになってしまったのです。

そんなお隣さんの様子をみて、母は父に対し、
町内会長に推薦されても絶対に固辞するように強く要求していました。
ところが、何度かの会合の結果、父は町内会長の役を引き受けてしまいました。

「あんなに、引き受けるなって言ったのに」
「いや、誰かがやらなければいけないことだから・・・」
「もう歳で、体調が悪いからって断ればよかったのに」
「でも、毎日散歩して、ワシが元気なのを知ってる人は知ってるし・・・」
「ワタシはアナタが毎日クスリを飲んでるのを知ってます!」

母が攻め、父が必死で言い訳をする。
ですが、いまさら「やっぱり会長になるのやめます」とは言えない。
一週間以上、父と母が言葉を交わさない日々が続きました。
ワタシが知る限り、最長の夫婦喧嘩でした。
同居しているワタシにとっても大変居心地の悪いものでしたが、
結局、母に一言でこの喧嘩は終結いたしました。

「アンタ(ソロリのこと)もお父さんの手伝いをしなさい」

かくて、ワタシも町内会長の業務の一端を担う約束をさせられたのです。




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